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もうすぐオリンピック開催地決定

 2020年夏季オリンピックの開催地があと数時間で決定する。先程、東京の最終プレゼンテーションを見終わったばかりだ。プレゼン自体は概ねよかったと思う。(特に、高円宮妃久子様と太田雄貴選手のプレゼンは本当によかった!)

 私は今回に限らず、基本的にはオリンピック開催地は新規の都市を選んでほしいと思っている。オリンピックを取り巻く状況は数十年の歴史の中で色々と変わってきているとはいえ、それ自体の持つパワーは今でもとても大きいものだ。語弊を怖れずに言えば、オリンピックを踏み台にして、よりたくさんの恩恵があるのがよいと思う。東京は50年前に、既に世界からよい思いをさせてもらっている。東京だけでなく、日本中が成長することができた。充分「豊か」になったといってよい日本は、今は恩返しのステージにいるのではないだろうか。

 2016年夏季オリンピックの開催地に東京が立候補したとき、今回ほど加熱した報道はされていないかったし、興味を持っている人も少なかった。実際に、認知度や支持率が低いことが指摘された。
 それでなのかどうなのか、今回は妙に盛り立てるような報道や動きが多かった。1年以上前から、公共施設や商店街などに東京招致の宣伝がされていた。報道では、イスタンブールマドリードに関する情報はあまり取り上げられず(もしくは悪いニュースは取り上げられる)、東京の優位性や盛り上がりの話題が多かった。「もう実際には東京に決まっている」なんていって動いている業界もある。さすがに、ここ連日の盛り上げ感のある報道にも嫌気が差してきた。

 何だかネガティヴな気持ちになる理由を考えてみた。
 ひとつは「オリンピックをやりたいのは誰なのか」ということ、もうひとつは「東京なのか、日本なのか」ということだと思った。

 オリンピックをやりたいのは誰なのか。
 結局、オリンピックを知っている世代なんじゃないだろうか。少なくとも、知らない世代から上がった話ではない。結果的に支持するようになった人はいるだろうけれど、そのための金銭や仕事は事実上若い世代が負担するんだよね。
 やりたい人達は、今これをやることで何になると思っているんだろうね。その辺りの声が中々聞こえてこなかった。人気のあるアスリートや著名人に(綺麗なメッセージを)代弁させていたように見えた。それが私の心を掴まなかった理由のひとつ。

 東京なのか、日本なのか。
 東京こそが開催地となるべき理由は、都民である私にも解らない。もしくは伝わっていない。人を納得させられるような理念がないからなんだろう。きっと、ただやりたいだけ、あの頃の日本をもう一度みたいなノリなんだろう。
 そう、「日本」なのである。東京ではなく。大阪や愛知、前回の東京など、こんなに国がバックアップしていたかな、と思うのだ。本音は日本なのだ。日本のために一番使えそうなのが東京だというだけ。だから、東京であるべき上手い理由すら思いつかないんだろうなあ。
 東京が賑わう一方で地方は疲弊しつつあるからこそ、東京以外でというのならまだ解るんだけれど。特に、復興のことをいうならば、もうしばらく待って、東北の都市で立候補したってよかった。
 何だか「日本でやりたい!」という気持ちだけが先行しているように感じて、共感できなかった。これがひとつ。

 上に述べたようなことがクリアになっていれば、もっと楽しみながら今日を迎えられたんじゃないかと思う。

 ちなみに、個人的にはイスタンブールに決まったら面白いと思っている。「アジアとヨーロッパの架け橋」というコンセプトが根拠として強いし、イスラム圏初、中東でも初ということで、他都市よりも意義があるように感じるからだ。 現在の前評判では東京かマドリードなんて言われているから、実際は難しいんだろうけど……。
 マドリードも実は3回連続で立候補しているので、着実に課題をクリアしてきていると思う。
 もし東京になるとしたら、ある意味では消去法ともいえるんだろうな。原発の質問は、東京にはそれ以外にあまり欠点がなかったからという意味合いもあるように思える。本気で影響があるかないかなんて訊く必要ないだろうし(そもそも正直に答えるかどうかなんて判らない)。姿勢を問われたんじゃないだろうか。そういう意味では、数回の質疑応答はマイナスイメージのように思えた。この質問は、選んだ理由にも選ばなかった理由にも、いずれにも使われるんだろうね。もし決まったのなら、政府には本腰入れて原発問題や復興に取り組んでほしいけれど。

 最後に、私は都民なので、オッサン達の夢につき合わされて税金をがっぽがっぽ使われたのは正直腹立たしいけれど、もし東京で開催することが決定したら、是非開催に関わる何かしらのボランティアをしてみたいと思っている。昨年、U20サッカー女子ワールドカップの試合を数試合観に行って、自国に世界中の国が訪れてくれるような機会はとても貴重で感動的なものだと感じたので。

 色々と言ったけれど、ここまでくればあとは決まるだけ。数時間後の発表の瞬間を楽しもうと思う。